恋愛なんて、めんどくさい。
とりあえず遊園地の中まで走ってきた。
「…いつまで“コレ”繋いでんの?」
そう言ってしっかりと握られた手を指差す。
「わっ、わりぃ!」
パッと手が離される。
急に温もりが無くなった手が寂しい。
いや、自分から言っといてなんだって話なんだけど。
別に嫌だったわけじゃなくて。
ただ恥ずかしかっただけというか…。
とは言えない。
あちらでは。
顔が真っ赤な二人。
藤谷相当大胆なことしてたもんね。
からかいたくてうずうずしてる深宮。
あたしだって突っ込みたくてしょうがないけど。
…このままにしてるのも面白いし。
笑いを堪えながら二人を見ていたら。
深宮が急に振り返って、
「なあ、もう一回呼んでよ。」
「…?何を?」
「…“慧”って♪」
どうやら、ターゲットをあの二人から、あたしにしたみたい。
「俺いつの間にか柊の“彼氏”になってたみたいだし?」
う゛っ。
「“彼氏”なら名前で呼んでくれるよな~?」
う゛っ。
「…今別れたの。」
「なんだよそれ~、つまんねぇの~」
「ホントに彼氏になるって言うんなら呼んであげないことも無いよ~♪」
「…はっ?えっ?ちょっ…」