気まぐれな君も好きだから
「今日はありがとう。いっぱい奢ってもらったし、いろいろ話せたし、すごく楽しかった。」

「ほんと? 良かった。じゃ、また御馳走できるよう、頑張んないと。」

「そう言えば、競馬やるなんて知らなかった。」

「つい最近だよ。店から近いじゃん? 誘われて行ってみたら、案外面白かった。生鮮の連中なんて、早く上がって帰りにティンクルレースとかしょっちゅう行ってるよ。」

「へぇ、そうなんだ。」

「つっても、俺は500円とかしか賭けないから、そんなには儲からないんだけどね。」

「そうなの?」

「がっつりギャンブルする気はないし、儲けるためっていうより、ゲームしてる感じ。 1.1倍の鉄板の馬に大金賭けるより、頭使って、考えて、大穴当てた方が楽しくない?」

「何か古谷君っぽいね。」

「そう? 」

「うん。やっ!わっ!」



話に気を取られていて、すっかり油断していた。

マンホールの蓋のでこぼこに、ヒールの踵をひっかけてしまった。

ただでさえ雨で地面が滑る上、外灯のない暗い所を歩いていて見えなかったから、危うく滑って派手に転びそうになったのだけど..........
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