気まぐれな君も好きだから
と思っているうちに、古谷君の身体が覆いかぶさって来た。

私の背中に両腕が回され、後ろでカチっと傘を閉じる音が聞こえた。

そして、ぎゅーっと抱きしめられた..........



カラダがカアっと熱くなる。

ドキドキが一気に最高レベルに達する。

こんなの、有りなのかな。

これは許される範囲のことなのかな。

「好きだよ」って、完全に言っちゃったことにならないのかな..........



「もう少し、こうしてていい?」

「うん........。」



こんなに深く古谷君の匂いを感じたのは初めてだ。

嬉しいな。

忘れないように憶えておかなくちゃ。

こんなこと、もう二度とないかもしれないから。



鼓動が早くなり過ぎて、息が苦しい。

でも離れたくない。

包まれていたい。

時間なんて、このまま止まっちゃえばいいのに。



それより、もう時間を戻すことはできないのかな。

出会った頃に戻りたい。

そうしたら、素直に「好き」って言いたい。

フラフラしてないで、古谷君だけを見ていたい。
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