気まぐれな君も好きだから
* 優しくしないで


< 優しくしないで >




終電ギリギリまで公園にいて、帰宅してから、ゆっくりお風呂に入った。

湯船に使って、さっきまでのことを思い出す。

古谷君と思いが繋がっていたことが嬉しくて、幸せな気持ちになる。

出会ってから今まで、古谷君との間にはたくさん思い出があるけど、お互いの思いを知った上で反芻すると、その一つ一つがまた別のイメージで蘇って来る。



と同時に、俊のことを考える。

俊は何も悪くない。

むしろ被害者だ。

古谷君の存在を気にしながら、悩んで、苦しんで、嫉妬して、それでもずっと私を愛し続けてくれたんだから。



今すぐ、どうこうしようとは思わない。

俊を嫌いな訳ではないし、これから先も古谷君と私が付き合うことは不可能だってわかってるんだから、ここで余計なことをするつもりはない。

変に動いてしまったら、すべてが無駄になる。

何年もの間、古谷君を、俊を、苦しめていたことが。

揺れる心に戸惑いながら、過ごして来た日々が。
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