気まぐれな君も好きだから
私の髪を撫でながら、気を取り直したように、遥希がまたキスを落とす。

だけど今度は、唇じゃなくて、おでこ。

もしかして、反応を見て、私の気持ちを探ってるのかな。

丁寧だけど控えめなキスに、どうしても切なさを感じてしまう。



悪いのは、全部、私。

でも私だって知らなかった。

他の男の子を思いながらのキスは、こんなにも味気ないものなんだ。

私、また遥希を傷付けちゃったかな..........



「.....観覧車っていいね。」

「..........。」

「ここにいるのは俺と歩未の二人だけでしょ。時間は短いけど、誰にも邪魔されない。」

「..........。」



違うよ、遥希..........

二人だけの空間のはずなのに、私はさっきまで、他の男の子のことを考えてた。

心がどっかに行っちゃって、遥希の愛情の籠ったキスを、いい加減な気持ちで受け取った。



私はきっと本当は、遥希が思うような女じゃない。

もっともっと、ズルくて、悪くて、ひねくれてる。

遥希みたいな心の綺麗な男の子に愛される資格なんて、持っていないのかもしれない。
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