気まぐれな君も好きだから
おどけてガッツポーズする仁科君を中心にして、事務所に居合わせた人、みんなが笑ってる。

ここの店は、ほんとにノリが良い。

明るい空気が常に流れているし、ここにいれば、いつも何となく上向きな気持ちでいられそうだ。

やる気を失いかけてはいたけど、このメンバーとなら楽しくやって行けそうな気がして、私にとって、それは何だかホッとする瞬間だった。



仁科君が言ってる「好き」とハル君が言ってる「好き」は、明らかに種類が違うことは、すぐにわかった。

ドサクサに紛れて言わされた感のある告白だったし、ハル君の気持ちはどの程度本気なのかわからないけど、その日からハル君は、私を見かけると必ず、可愛い笑顔を見せてくれるようになった。



癒されるって、こういうことなんだろう。

微笑みかけられると、気持ちが和む。

姿を見かけると、目が離せなくなる。

声をかければとても嬉しそうに反応してくれるし、遠慮がちな「好き好きアピール」が可愛いくて、小さな仕草にも、いちいちキュンキュンしてしまう。
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