気まぐれな君も好きだから
腕に力をこめて、ギュ~っと遥希を抱きしめた。

涙は止まらないし、胸はいっぱいだし、気持ちを伝えるには、他にどうしていいかわからなかったから。

そんな思いをしてまで、私を好きでいてくれる遥希が、愛しくて愛しくてたまらなかったから。



「.......そんなに優しくしないでよ。」

「どうして?」

「私なんかに、そんな価値ないもん。」

「そんなことないよ。」

「そんなに優しくされても、私、遥希に何にもしてあげられない。一緒にいても、苦しいだけなのに。」

「いいんだよ、それで。」

「よくない。」

「..........。」

「こんなに尽くされてるのに、私の方がお姉さんなのに、わがまま通して、すぐ拗ねて、遥希のこと、いつも悩ませてばっかりじゃん。こんなの絶対おかしいよ。」

「いいの、それでも。」

「なんで?」

「だって、俺がそうしたいんだもん。」

「..........。」



私の髪を指で梳き、そのままその流れで頭を抱え込むと、遥希はしっかりと目を合わせ、切なげに微笑んだ。

そして優しくキスすると、私を落ち着かせるように、とても大切そうに抱きしめ直した。
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