気まぐれな君も好きだから
「店にいる時の歩未と、二人だけでいる時の歩未は違うでしょ? 店にいる時の優しい歩未も好きだけど、こんな風に素直で、ちょっと強気で、気紛れで、そういう俺しか知らない可愛い歩未は、もっともっと好きなんだ。」

「..........。」

「だから、会う度、もっと好きになっちゃうし、益々、離したくないって思っちゃう。」

「..........。」

「歩未がそばにいてほしいって言ってくれるんなら、辛くても構わない。ずっとそばにいるから、歩未も俺のこと、少しずつ好きになってくれる?」

「.......ほんとに、バカ。」

「だめ?」

「なんで、わざわざそんなこと言うの? 私が遥希のこと、どのくらい好きか知らないくせに。」

「歩未.......。」



自分から、遥希にキスをした。

それは涙の味がする、とても切ないキス。

古谷君とのことでグチャグチャになって、緩やかに落ち着きを取り戻し始めていた心は、もうどうにもならないくらいグチャグチャだ。

今、私が置かれている状況も、本当の気持ちも、自分自身のことなのに、もう何が何だかよくわからない。
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