気まぐれな君も好きだから
ハッキリとわかるのは、目の前にいる子犬が、とてつもなく愛おしい存在に変わりつつあること。

二人の距離が、極端に縮まったこと。

私の心の奥深くまで、どんどん、どんどん、遥希が踏み込んで来ていること。



その証拠に「ごめんね」の気持ちを伝えるキスは、ほんの少し唇が触れただけで、一気に緊張が解れたみたいにカラダを熱くして、いつまでも止められなくて、離れることができなくて.......

観覧車はもう終わりに近付いているのに、何度も何度もお互いを求めてしまう。

「ごめんね」だけじゃない、いろんな感情が溢れ出て、それを確かめ合うように唇を重ねてしまう。



頭がボ~っとするくらい、その行為に夢中になり出した時、私の携帯が着信音を奏でた。

この着信音は俊からだ。

昼間にかけてくることなんて滅多にないのに、よりによって、何でこんな時に.......

携帯を放置したままキスを続けるものの、あまりのタイミングの悪さに、再び集中することができない。



「.....出なくていいの?」

「うん。いい。」

「もっとこうしてたいけど、もう着いちゃうね。」

「後でまた乗ればいいよ。」

「そうだね。暗くなってから、また乗ろう。」

「うん。」
< 124 / 243 >

この作品をシェア

pagetop