気まぐれな君も好きだから
* 理想と現実


< 理想と現実 >




遥希と別れてから、自分の部屋に戻って俊に電話をした。

俊が昼間に電話して来るなんて珍しいし、その後、メールも届いていない。

半日くらい放置しちゃったけど、何の用事だったんだろう。



「もしもし。」

「もしもし、俊? 遅くなってゴメン。昼間、電話くれたよね?」

「あ、歩未? 今日、どっか行ってたの?」

「うん。友達と会ってたんだけど、途中で充電切れちゃって。」

「そう。」



咄嗟に上手い嘘が出るようになった自分に、少し驚く。

慣れって、怖い。

普通じゃ考えられないような状態にドップリ浸かっているうち、こんなことが平気で出来るようになっちゃったんだ........



「いきなり電話して来るなんて珍しいね。急ぎだった?」

「急ぎって言うか、早く知らせておいた方が良いんじゃないかって思ったことがあってさ。慌てて、電話しちゃったんだけど、後で冷静に考えたら、そこまで急がなくても、夜、ゆっくり伝えた方が良いのかなって思い直して......。」

「ふ〜ん。」
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