気まぐれな君も好きだから
確かに私の専門としているティーンズや子供の高級ライン(と言ってもスーパーにしては少し高めでお洒落というだけなんだけど)は、年々、縮小傾向にある。

今やスーパーをメインとしたショッピングモールの中に、人気のアパレルブランドがいくつも軒を並べるのは当たり前だし、ファストファッションブランドだって台頭して来ている。

それに比べるとスーパーの衣料品は、おしゃれ感も値段も中途半端なイメージで見られがちだ。

売り場をよく見てもらえば、決してそんなことはないと言えるけど、実際、衣料品売り場を素通りするお客様は多いし、私の専門分野どころか衣料品部門全体が苦戦しているのも事実。

そうなるとあまり伸びる可能性がない上、手間もコストもかかるのに、値引きの連続で利益の出にくい高価商品を扱う部門が削除されるのは、当然の流れと言える。



「ま、歩未はさ、自分の専門分野以外の売り場も一通りちゃんと見られるし、普段から小山がいない日とかはマネージャー業務も果たしてるだろ? いろんな所でお前の評判聞くけど、おおむね高評価だから何の心配もないんじゃない?」

「そうなのかな?」

「そうだよ。俺と一緒に働いてた時だって、歩未は何教えてもすぐできるから、専門以外も全品群やらせてただろ? 他の女の子だったら、そうはいかなかったと思うよ。」

「ほんと?」

「うん。」
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