気まぐれな君も好きだから

急にそんなことを言われると調子が狂う。

だいたい、今までスペシャリストとして少しは誇りを持って受け持って来た部門が無くなるって聞かされたダメージは、そんな言葉くらいじゃ簡単には拭えない。

俊に文句を言ったところでどうにもならないってわかってるけど、モヤモヤする気持ちを吐き出したくなって、少しだけ悪態をついてみる。




「あの頃、ホントにそんなこと考えてた？」

「もちろん。普段はどっちかって言うとフワッとした柔らかい印象だし、男に負けたくない的なギラギラ感出してるタイプでもないのに、やる気があって、呑み込みも早くて、なんかカッコいい女の子だなって、いつも思ってた。」

「うそ。」

「嘘じゃないよ。最初は、歩未のそういうところに惹かれたんだもん。」

「へ？」

「あ、何か、話逸れちゃったけど、わかってるつもりだよ。歩未が仕事好きなのも、それなりにプライド持って働いてるのも。だからこのこと、早く伝えようって思ったんだし。」

「...........。」

「今まで一生懸命やってきた部門、いきなり無くされたら悔しいよな。」

「.......うん。」