気まぐれな君も好きだから
でも悪い気はしなかった。

ただ仲が良いだけで、別に疚しい関係ではないし。

ハル君がどう思っているのかわからないけど、気にするどころか、言われれば言われるほど、私達は平気でじゃれ合うようになって行った。



なぜなら冗談半分に茶化すことはしても、誰も本気で二人をくっつけようとはしなかったから。

そしてそれには、ちゃんと理由があったから.........



私には彼氏がいる。

二期上の先輩で、衣料品部のバイヤー。

売り上げ不振が続く衣料品部門の中で大幅な商品見直しを繰り返し、利益率の改善を推進中の社内の有名人。

この店にも彼の同期や知り合いはいるし、付き合い始めて三年くらい経つから、ある程度の社歴がある社員の間では、有能イケメンバイヤーの彼女として、私自身も名が通っている。



だから誰も、私が本気でハル君の相手をしているなんて思っていない。

「弟」か「ペット」として可愛がってるくらいにしか見ていないのだ。
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