気まぐれな君も好きだから
次の日は、朝から気が重かった。

これから俊にどんなことを言われるのかと思うと、尋常じゃないくらいドキドキするし、正式発表は明日らしいから、昨日聞いたことの方も、まだ誰にも言えない。



大きな心配事を二つも抱えていると、さすがに精神的にキツい。

会話の相手がいれば自然と笑顔も出るんだろうけど、一人でいるとつい考え込んでしまい、沈んだ表情になってしまう。



物流センター便到着のアナウンスが入り、荷受けをしに納品口まで下りて行くと、店内放送を聞いて私が来るのを待っていたのか、冷蔵庫の中で作業をしていた遥希が顔を出した。

パッと明るい顔になって嬉しそうに近寄って来る様子は、ホントに尻尾を振ってる子犬みたい。

気が抜けて、私も自然と笑顔になる。



「おはよう。昨日は楽しかったね。」

「うん。昨日はありがとう。」

「またデートしようね。」

「うん。」

「やったぁ...うわっ!」



急に驚いた顔になって、遥希がのけぞった。

遥希の視線が向いている方向に振り返ってみると、トイレットペーパーが山積みされたカゴ車とカゴ車の間から生活雑貨のマネージャーの三井君が覗いている。

三井君がおちゃらけて、すごいもの見ちゃった的な変顔をして見せるから、思わず吹いてしまう。
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