気まぐれな君も好きだから
「見~ちゃった。」

「ちょっ、やめてくださいよ~! びっくりするじゃないですか。」

「いやぁ、ハル君、水面下で頑張ってるんだね。」

「あ、いや、それは.....。」

「やだ、もう、心配しないで。誰にも言わないからぁ。」

「や、マジで頼みますよ。絶対言っちゃだめですよ。」

「ハル君たらそんなにムキになって、カ・ワ・イ・イ。」



三井君はいつもこんな感じで、場を和ませてくれる。

すべってもすべってもボケ倒して笑わせてくれる、仁科君と並ぶお店のムードメーカー。

ともすると気まずくなりそうな場面を、明るく切り替えてくれて助かった。



三井君はチラシに載っている衣料用洗剤がギッシリ積まれたカゴ車を引き始めた。

衣洗の載ったカゴ車は見た目よりもかなり重くて、男性でも本気で踏ん張らないと動かせない。

エレベーターに乗せるのも一苦労だから、遥希が黙って押すのを手伝い始める。



「お、サンキュ。でもお前、気をつけろよ。ノンフーズ便の荷受けに来るの、歩未さんだけじゃないってわかってるだろ? 俺じゃなかったらバラされちゃうかもよぉ。」

「あ、はい。」

「三井君、ありがとね。」

「だって広がると面倒でしょ? てか、マジで付き合ってるんすか?」

「ううん。」

「そっかぁ。ならば、片瀬ぇ、頑張れ~!」
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