気まぐれな君も好きだから
カゴ車が四台積めるエレベーターにも、重量のある衣洗が載っていると二台で重量オーバーになってしまう。

二台目を積み終わると、三井君は遥希にそう言い残し、手を振りながら笑顔で3階へ上がって行った。



「やっぱり、バレちゃまずいよね?」

「うん、できれば。」

「ごめん!」

「ううん。人に言えないようなことしてるのが悪いんだから、仕方ないよ。」

「大丈夫かな?」

「平気じゃない? デートしただけなんだし。それにさ、バレたらその時はその時だよ。」

「えっ? マジ? でもさ.......。」



遥希はちょっと驚いた様子を見せた。

それはそうだよね。

突然そんなこと言い出したら。



だけど自分の中でどんどん大きくなっていく遥希の存在を、何とも思ってないみたいに誤魔化すのにも疲れて来た。

さすがに自らバラそうとは思わないけど、昨日一日、遥希と一緒にいて、バレたらバレたでそれもいいのかなと思い始めたのはホント。

もしバレたとしたら、その時、それでも俊が私を必要としてくれるのか、知りたいっていう意地悪な気持ちも少しはあるんだけど..........



「ハルく~ん!! どこ~?」



日配のパートの小野さんが、遥希を探して冷蔵庫の扉を開けている。

そろそろフーズのお昼の発注の締め切りだから、何か相談があるのだろう。



「ほら、行かないと。小野さんが探してるよ。」

「うん.....。ね、後でちゃんと話そう。」

「うん。」
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