気まぐれな君も好きだから
僅かだとしても恋愛感情を感じているのに、こんなことを繰り返すのはイケナイことだと思う。

だけどハル君と過ごす甘い時間は麻薬みたいで、そんな正しい思考を、いとも簡単に麻痺させてしまう。



その日も途中までは小山君が乗っていたけど、降ろした後は二人きり。

私を見つめるハル君のキレイな瞳は、声を出さずに「好き」って言ってるみたいで、微笑みかけられるだけでキュンとなる。



彼氏持ちのくせにこんなことをしているズルい私には、ハル君の気持ちはピュア過ぎて眩しいくらい。

一緒にいたいとは思うけど、ハル君の真っ直ぐな思いを、私はどう受け止めればいいんだろう..........



「ねぇ、歩未さん。」

「ん? なぁに?」

「さっきから、何か考えごと?」

「あ、ごめん。ちょっとボ〜っとしちゃった。」

「あのさ.......もしかして、こういうの、いい加減、迷惑?」

「.......え?」



もちろん、迷惑なんかじゃない。

でも私に迷いが生じていることを、ハル君はお見通しなんだ。

下手に取り繕うより、正直に今の気持ちを伝えるべき?

それとも..........

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