気まぐれな君も好きだから

文句を言ってるのは、今日の幹事を務めている真紀さんだ。

誰の話をしてるんだろう。

伝票がどうとかって、事務所の子かな。

でもなんで古谷君に事務所のクレーム？



「言わないで下さいよぉ、とか言っちゃって、自分で言いふらしてくらいだから、よっぽど嬉しいんじゃない。」

「..........。 」

「秘密にしろって言われてるんですけどぉ、って、古谷君は秘密にしたいの？」

「あ、いや、それは.......。」



何が？ 何が？ わかんないよ。

気になって、自然に耳がダンボになっちゃうじゃない。

ここでツッコミを入れていいものか、一旦飲み込んで考えていたら、私の代わりに、真紀さんの隣にいた奈々さんが話に割り込んだ。



「何なの？ さっきからその回りくどい言い方。真紀ちゃん、何が言いたい訳？」

「えっ？ あぁ、 古谷君、趣味悪いっていう話。」

「はぁ？ どういう意味？」

「けっこうモテるのにずっとフリーだったから、どんな子が射止めるんだろうって、ちょっと期待してたのにさ。」

「え？ ってことは、古谷君、ついに彼女できたんだ？」

「いや、.......そういうんじゃないんですけど。」