気まぐれな君も好きだから
返信されて来たメールには、面接のはずなのに「インタビュー」と書いてある。

日本の企業とやり方が違うんだろうし、どんな方法を指して言っているのかわからないけど、絶対受かりたい的なガツガツした気持ちで受けるんじゃないから、まぁいいかって気楽に参加できる。

何年振りかわからないスーツに身を包み、南青山の本社ビルに向かうと、実に様々な人種がインタビューの順番を待っている。



年齢も性別もバラバラ。

いかにもっていう感じのリクルートスーツのおじさんもいれば、まるで普段着の大学生みたいな女の子もいる。

さすが外資系。完全実力主義って言うだけあって、そういうの、全然関係ないんだ。

妙に納得して待っていると、どうやらグループインタビューらしく、私の他に五人、男性が同じ部屋に通された。



英語のイントネーションが混ざったみたいな変な日本語の黒髪の女性が、面接官。

最初は一通り自己紹介をして、そのあとは全て挙手性。

「自分を実在のキャラクターに例えるとどんなキャラクターか、理由を添えて」とか、「今まで自分が一番信頼していた部下の人柄について」とか、日本の企業じゃあまり聞かない質問ばかり。

見たいのは何? やる気と個性? 分析力?

戸惑ううちにインタビューとやらは終わり、上手く答えられたのかどうかすらわからない。



一緒に面接を受けた元ゴルフ場の支配人のおじさんと、俊と同じ年の家電量販店に勤務するお兄さんと帰りの電車で話したけど、みんな面食らった様子で首をかしげていた。

憧れの実力主義外資系企業は、やっぱり甘くないんだな.....なんて、もうその日のことは半分どうでもよくなっていた。
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