気まぐれな君も好きだから
「お待たせ。良かったら、これ着て。」

「え?」

「歩未の服、だいぶ濡れちゃってるから、冷たくて気持ち悪くない?」

「あ、そうだね。」

「干しとけば帰るまでに乾くでしょ?」

「うん、ありがとう。」

「じゃ、着替えたら二階に上がって来て。突き当りが俺の部屋だから。」

「わかった。」



確かにマキシ丈のスカートの裾は、雨で色が変わって悲惨なことになっている。

さすが遥希だ。 よく見てる。

本当にどうやったらこんなに人に尽くす優しい性格に育つんだろう。



借りた短パンに着替え、言われた通り二階に上がっていくと、一番奥の部屋の扉が開いて、遥希が顔を出した。

笑顔で手招きされて、ドキドキしながら部屋の中に入り、背中を押されてベットに並んで座った。



「歩未が着てると何かカワイイ。自分の服じゃないみたい。」

「そう? これ、ありがとうね。」



立ちあがって濡れたスカートをハンガーにかけながら、遥希が微笑む。

遥希もいつの間にか部屋着に着替えていて、ラフな感じになっている。

何だか泊まりのお部屋デートをしているみたいで、気分も上がる。



全体的に黒っぽい家具で統一してある、雑誌に出てきそうなお洒落な部屋だ。

目立つのはCDが大量に並べてあるラックくらいで、シンプルだし、意外とキレイに片付いてる。
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