気まぐれな君も好きだから
「キレイにしてあるんだね。」

「いや、いつもは汚いよ。今も歩未に待っててもらってる間に、全部クローゼットに突っ込んじゃった。」

「そうなの?」

「いつもは散らかってるし、こうやってベットでゴロゴロしてばっかりだもん。」



そう言うと遥希はゴロンとベットにうつぶせに寝転んで、上目使いで私をじ~っと見てから、ニコッとした。

不意打ちでそんなことをするから、心臓を撃ち抜かれそうな可愛い仕草に、思わずキュンとしてしまう。

それを見抜いたかのように、背中を向けている私の腕を引っ張り、遥希は甘えた声を出した。



「ねぇ、こっちおいでよ。」

「.....うん。」



言われたようにドキドキしながらベットに上がると、寝ころんだ状態のままでフワっと緩く抱きしめられた。

遥希の匂いに包まれて、胸がキュッと痛くなる。

これは間違いなく大好きな人に抱きしめられてる感覚だ。

「好き」が凝縮されて、苦しいくらいに胸が高鳴る。

なのに力が入らなくなって、ふわふわと気持ちが良くなって来る。



私も遥希を抱きしめたくて、たまらなくなる。

背中に腕を回し、胸に顔を埋める。

このシチュエーションだから意識してしまうのか、可愛い顔に似合わず、意外と厚い胸板に、今までになく強烈に色気を感じてしまう。
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