気まぐれな君も好きだから
「あのさ.......ひとつだけ、聞いていい?」

「うん。なぁに?」



意表をついて、遥希の方から先に質問が出てきた。

何だろう? 今、私が言ったことの意味とか?



「この前さ、彼氏さんと、どんなこと話したの?」

「え? あぁ、プロポーズされちゃうかもって言ってた日のこと?」

「ホントに歩未は彼氏と結婚するつもり、ないの?」

「うん、ないよ。考えてほしいって言われたけど、保留中。」

「保留中?」

「だって遥希のこと、こんなに好きだって気が付いちゃったのに、結婚なんてできると思う?」

「えっ、じゃあ、さっきのは、俺のこと、一番に考えてくれてるっていう意味だと思っていいの?」

「うん、そうだよ。」



何でもないことのように答えてみせると、遥希は泣きそうな顔になって、またギューッと私を抱きしめた。

気になってたのに、今まで聞けなかったんだ。

そうだよね。結婚しちゃったら、こんな風に会う訳にいかないもんね。

ごめんね。余計な心配させちゃったかな........



「でもね、それだけじゃなくて、他にも理由がいくつかあるの。」

「結婚しない理由?」

「うん。」

「例えば、どんな?」
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