気まぐれな君も好きだから
ベットの中で向き合って、とても優しい目で遥希は私を見つめている。

やっぱり遥希になら何でも話せそうな気がする........



「うちの両親ね、すごく仲が悪いの。原因は父が浮気して借金作っちゃったことなんだけど、サラ金から家族を守るために一回離婚したのに、子供のためとか言って、無理にもう一回籍入れて、険悪な雰囲気のまま、今も一緒に住んでる。」

「そう.....。」

「父は有名大学出のエリート崩れだからプライドだけは高くて、借金が原因で元の会社クビになってから、どこに転職しても長続きしないの。で、その憂さ晴らしにギャンブルで細かい借金作っては、家族のために母がその借金を返すみたいなことを最近まで繰り返してて、そんなんだから、未だにいがみ合いばっかりだし、うちの両親見てると『結婚』って何なんだろうって思っちゃって。」

「そうなんだ.....。」

「ごめんね、暗い話で。こんなこと、誰にもまともに話したことないんだけど、何か遥希が相手だと、安心して話せちゃう。」

「そう思ってくれるんなら、嬉しいよ。何でも聞くから、もっと話して。」

「うん。でね、最初の大きな借金返したのもほとんど母のお父さん、つまり私のおじいちゃんだし、母が資格取ったりして必死に働いてくれたから、私は何とか大学まで行けたの。だから、私、母のことはすごく尊敬してるし、自分もいつか母みたいに仕事で評価されたいっていう願望が、どうしても消せない。」

「でも、それって、うちの会社じゃ難しいんでしょ?」
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