気まぐれな君も好きだから
俊の言葉が気にかかる。

「もっと分かり合える」なんて言われちゃうってことは、今は私の考えてることがわからないっていうことなんだよね。

確かに、俊に隠していることは沢山ある。

一人暮らしを始めるのも、さっきの言葉も、もしかしたら単なる嫉妬じゃなく、私にそれを全部見せてほしいっていうメッセージなのかも........



そんな新たな悩み事を抱えつつも、その二日後は11時出勤のシフトだったから、出社前に南青山に出向き、最終面接を受けた。

三回目になると、会社の雰囲気もだいぷ掴めて来た。

スーツではなく、敢えてラフ目にワンピースを着て最終面接に挑むと、入って来た面接官は通訳を伴なったアメリカ人だった。



普段の生活の中で、通訳がついた外国人と話す機会なんて、そうそうない。

ここの会社に入るつもりなら慣れなくちゃいけないことなんだろうけど、あまり愛想の良くない面接官に、無駄に緊張してしまう。



しっかり目を合わせているのに、何を言っているか全くわからない会話はちょっと不思議だ。

聞き終って数秒後、通訳の女性が早口で変なイントネーションの日本語でまくし立てるから、誰と会話をしているのかわからなくなる。



それでも必死で何とか全ての質問に答え、その日の面接も無事に終了した。

あとは結果を待つだけ。

受かったら、やっぱりハッピーマートを辞めることになるのかな。

その決断はまだ出来ていないけど、新しい挑戦をした充実感でいっぱいで、とても前向きな気持ちになれた。
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