気まぐれな君も好きだから
次の日、出勤すると、ついに大異動の第三弾が発表されていた。

パっと見た感じ、うちの店からは第二弾に続き、誰も引っかからないようだ。

胸を撫で下ろし、知り合いの名前を探して行くと、思わぬ名前を見つけ、はっとした。




品川店 衣料品部マネージャー(現)

古谷 和真

第四ストア部 スーパーバイザー



やっと思い出すことも少なくなった、ずっと好きだった人の名前がそこにある。

それだけで胸がキュンとしてしまう。

忘れようとしてしても忘れられない、大切な記憶が蘇る。



でも感傷に浸ってる場合じゃない。

第四ストア部は、この辺り一帯を指す。

異動が発令されれば、ここも当然、古谷君の担当店舗になってしまう。



SV(スーパーバイザー)は総合的な店舗指導をする職種。

担当になれば、最低でも月に二回くらいは顔を出す。

もしそうなったら、どうなることやら。

とてもじゃないけど、何でもない顔をして一緒に働く自信はまだない。



呆然としていると、意外な人が意外なセリフを口走った。



「知ってます? 古谷さん、彼女と別れたって。」



えっ? ちょっと待って! それはホントなの?

って言うか、今の声って、赤部さん?

なんでそんなこと、わざわざ私に言うの..........
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