気まぐれな君も好きだから
そんな恋人を持つからには、会えなくても文句なんて言わないし、大変さがわかるから、一緒にいる時は労わってあげる。

同じ部門にいて仕事の内容もある程度は理解できるから、時には愚痴をこぼしても聞いてあげるし、共感してあげる。

信じられないほど多忙でも、何の疑問も持たないし、黙って大人しく待っている。



間違っても「仕事と私、どっちが大事なの?」なんてバカなことは聞かないし、朝帰りが続いたからって、すぐに浮気を疑ったりもしない。

だから仕事に妥協を許さない俊にとって、私は恐らく理想的な恋人。




たまにしか会えないからこそ、俊には、そんな私が、余計に「可愛いい彼女」に映るようだ。

社内恋愛の盛んな我が社ではあるけど、お互いの異動で知り合いが増えて行くうち、面倒なことになるパターンもあるから、付き合っていることを隠しているカップルも結構いる。

ましてや俊は社内の有名人だから、バレればあちこちで冷やかされて鬱陶しいだろうに、何処に行っても、隠すどころか、平気で自ら私の話題を出したりするらしい。

それこそ「愛されてるのね」って、私がからかわれることの方が多いくらい。
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