気まぐれな君も好きだから
今日、遥希は日配食品の二年目社員の研修で、店には来ていなかった。

終業時間が遅いノンフーズ組や店長と一緒に電車で帰ると、もう時計は10時45分を指している。

母が用意してくれた食事を摂って部屋に戻り、すぐ俊に電話をかけた。



「もしもし、歩未?」

「うん。」

「お帰り。やっぱり、川崎、遠いから遅いな。」

「うん、しょうがないよ。駅からバスだから余計に時間かかるし。俊は今日、早く帰れたの?」

「いや、休み。って言うか、休みがどうやっても入んなくなっちゃったから、休み扱いにして、朝だけちょっと会社行って、午後は家でもできる仕事してた。」

「そう。相変わらず大変だね。」

「もう秋物の企画立ち上げなきゃいけないし、冬物のサンプルも出始めてるからね。」

「ふ~ん。そうなんだ。」

「なかなか休み合わせられなくて、ごめんね。」

「いいよ。俊は期待されてるんだから、頑張って。」

「ありがとう。歩未にそう言ってもらえると、やる気出るよ。」

「応援してるよ。俊のしてる仕事は、誰にでもできることじゃないから。」
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