気まぐれな君も好きだから
約束の水曜日、俊は2時過ぎに現れた。

改めて見てみると、スーパーの社員っぽくないお洒落なスーツを着こなした俊は、「デキる男」のオーラみたいなものを漂わせていて、自分の彼氏ながら素直にカッコいい。

それだけでも目立つのに、私と付き合っていることは既に店中に知れ渡っているから、他部門のパートさんからも無駄に注目を集めていて、遠目に眺めているギャラリーが絶えない。



なのに俊は終始涼しい顔で、バイヤーらしく、売り場や在庫をチェックしていた。

特に商品を掛けるラックや什器類を細かく見ていて、棚を支えるバーの本数まで数えている。



「それ、どっかに送るの? 改装?」

「お、さすが歩未、勘がイイね。品川の売場、改装するから、この長い方のバー、余ってる分、少し貰っていい?」

「うん。いいよ。」



品川は古谷君のお店。

単なる店名なのに、俊の口から聞くとちょっとドキッとする。

そう言えば、近所に競合が大型店舗を出店したから大変だって、古谷君が言ってたな。

だからこの前、俊は休みなのに古谷君の所にいたんだ。
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