気まぐれな君も好きだから
ハラハラして、古谷君と何を話していいかわからない。

微妙に気まずい空気が流れる中、二次会に参加しないメンバーが、次第に自然解散し始めた。

いつまでもそこにいる訳にもいかないし、とりあえず二次会に参加する古谷君と小山君とはそこで別れ、駅に向かうことにした。



駅までは数人が一緒だったけど、トイレに行ったりして上手く離れ、俊と二人きりになってから、京浜東北線に乗った。

何だか、やっとホッとする。



「せっかく朝まで一緒にいられるのに、ラブホ探して彷徨ったりしたくなかったから、ホテルの部屋取っちゃった。」

「え? そうなの?」

「うん。歩未と一緒の時間は、大切にしたいから。」

「......ありがとう。それは私も同じだよ。」



俊の肩に寄りかかりながら、素直に気持ちを伝える。

愛しそうに見つめながら、俊が肩を抱き寄せる。

マメで気が利く俊らしい。

そんなの期待してなかったから、すごく嬉しい。

こんな風に物事をさらっとスムースに進めるオトナ加減も、俊の魅力の一つだと思う。



東京駅で降りて、俊が取ってくれた豪華めのホテルまで、手を繋いで歩いた。

夜の銀座なんて、あんまり来たことがない。

キラキラしてるのに落ち着いた街並みにドキドキして、自然とテンションも上がる。
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