気まぐれな君も好きだから
* 子犬の反乱


< 子犬の反乱 >




昨日は、ホテルのベッドで俊に腕枕をされたまま眠った。

ちょっと窮屈だけど、嬉しい目覚め。

俊の匂いに包まれている。

目を開ければ、すぐそばに俊の顔がある。

何の疑問も不安も持たず、俊一人だけに溺れていられたら、どんなに幸せだろうと思う。



カラダ中に付けられた何カ所ものキスマークが、少し紫色に変わって、昨日よりも目立って見える。

俊はこれで満足なのかな?

こうしておけば、本当に誰にも盗られないとでも思ってるのかな?



私の気持ちが古谷君になびいていることを、俊が気付いているのはわかってる。

でもまさか、私が本当に古谷君と浮気するとでも思ってる?



どっちにせよ、今までは、ほんの微かな嫉妬しか見せなかったから、昨日は少し驚かされた。

俊の嫉妬がこんなに深いものだなんて、思ってもみなかった。

裏を返せば、気付かないうち、それだけ俊に我慢させてしまっていたということなのかもしれないけど。
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