気まぐれな君も好きだから
ため息をついて見せると、すかさず小山君がツッコミを入れる。



「お前が店内放送してやれば、ハル君、ここから本気見せて、ケーキ全部売っちゃうかもよ。」

「何、それ? そんな簡単?」

「あいつは簡単。」

「まぁ、そうだけど.......。」

「店長に怒られて凹んでるから、助けてやんなよ。それ片付いてからでいいから。」

「うん.......。」

「俺もやるからさ。」

「わかった。」

「後で、そっちにバイト回すわ。」

「うん、ありがとう。」



小山君はそう言い残すと、早速、店内放送をするつもりなのか、バックヤードに戻って行った。



やっぱりなぁ..........

そういうことだったんだ。



やる気があるのは良いけど、遥希はたまにこういう大失敗をする。

なのに、みんなに助けられて、いつも最終的には何とかなってしまう。

きっと、人懐こくて優しい性格のせいなんだろう。

遥希の周りには、どこか放っておけなくなるオーラが漂っている。

多分、みんなに愛される才能があるんだと思う。
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