気まぐれな君も好きだから
甘いトキメキは、何者にも変え難い「安らぎ」に変わりつつあるのかもしれない。

そばにいると和むから一緒にいたいと思うんだろうし、癒されるのは可愛いからだけじゃないって、今ならわかる。

私の中を遥希の占める割合は、確実に大きくなって来ている。



たけどそれがどのくらいの割合なのか、自分でも、もうちゃんと把握できない。

もしかしてずっとそばにいたら、どこまでも、どんどん大きくなって行っちゃうのかな.........



「ねぇ、もう帰らなくちゃダメ?」



なんて子犬みたいな目で聞かれたら、「ううん」って答えるしかない。

うちの近くまで来て、悲しいそうに聞くから、とりあえず川沿いの土手の方へ車を走らせ、野球グランドの脇にある遊歩道を、手を繋いで歩いた。



もう11時を回っているから、他に人影は無い。

あるのは鉄橋を走る電車の音と、首都高を急ぐ車のライトだけ。

雨上がりだし、河原を吹く夜風は冷たくて、身体をブルっと震わせたら、遥希が立ち止まった。



「ちょっと寒いね。」

「うん。」
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