気まぐれな君も好きだから
そんな風にじゃれ合っているうちに、また雨が地面を濡らし始めた。

急いで車まで戻り、中に入ろうとしたら、遥希が助手席じゃなく、後部座席のドアを開けた。

不思議に思ったけど、濡れるのも嫌だし、促されるまま後部座席に乗り込むと、遥希もすぐに後ろに乗って来て、隙間がないほど私にピタッとくっついて座った。



「濡れちゃった?」

「うん、でも大丈夫。ちょっとだけ。」

「良かった。風邪ひいちゃったら大変だから。」



遥希は優しく頬笑むと、私の髪を撫で、そのまま頭からすっぽりと、包み込むように抱きしめた。

こんなにしっかりと、正面から遥希に抱きしめられるのは初めてかも。

ダメだ。

やっぱりドキドキが止まらない。




あ、でも..........

そうか、そういうことなんだ。

運転席に座ってたら、こんな風には抱きしめられない。

相変わらずやることがいちいち可愛いから、不意打ちのごとく、キュンとしてしまう。



「だから、後ろの席なんだね。」

「バレた? だって、歩未のこと、しっかり抱きしめたいんだもん。」



耳元で囁くように言われたら、カラダ全体が軽く疼き出した。

ほどよく力が抜けて、カラダがフワフワし出したころに、遥希の唇が重なって来る。
< 71 / 243 >

この作品をシェア

pagetop