気まぐれな君も好きだから
唇の感触を味わうように、何度も何度もゆっくりと、啄むようなキスを繰り返す。

それに合わせ、甘い痺れが、カラダの隅々までジワジワと広がって行く。



一旦唇を離し、大きく息を吐いた後、もう一度軽くキスしてから、今度は舌を絡め始める。

ゆるく絡めた舌を丁寧にクルクルと転がされたら、それだけでもうカラダが蕩けてしまいそうになる。



これ以上の関係にならない分、遥希はいつもたっぷりと時間をかけてキスしてくれる。

それがあんまり心地良いから、遥希と二人きりでいると、私はこの時間を待ち侘びてしまう。

キスがこんなに気持ち良いって、この年になって年下の男の子に教わるなんて、未だに信じられないけど。



特別にキスが上手とか、変にテクニックがあるとか、多分そういうことではない。

遥希はいつも愛しくてたまらないっていう目で見つめながら、とても大切そうにキスするから、私がどうしてほしいのか、何をすると感じるのか、反応を確かめるうち、本能的にわかるようになってしまったんだと思う。



今までに、ここから先の関係を、特に拒否したことはない。

だけど、遥希はまだ自分の中途半端なポジションを気にしているのか、これ以上の関係に進むことを遠慮している。
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