気まぐれな君も好きだから
でも今日はダメ。

絶対にダメ。

こんなカラダじゃ惨め過ぎるし、本当に遥希の思いを受け入れるべきなのか、私の中にはまだ迷いがある。

ただでさえ普通の関係じゃないんだから、そうなるならきちんと心の準備ができてからじゃなきゃ、きっと後悔しか残らない。



遥希の両頬を手のひらで包んでキスをして、首に腕を巻き付け、抱きしめる。

オオカミになりきれない子犬が、今までどれだけ我慢していたのかと思うと、切なくて、愛しくて、胸がキュンと痛む。

爆発の引き金になったのは、俊の来店だってわかるから、余計に可哀想でたまらなくなる。



「ごめんね。何か焦っちゃって。」

「ううん。いいの。」

「好き過ぎて、何かもう、俺.......。」

「我慢しなくていいよ。」

「..........。」

「でも、もうちょっと待って。」

「.......うん。ごめん。」



遥希が私を大事そうに抱きしめる。

そう、それでいい。

こんなことくらいで、遥希を嫌いになったりしないから。



これからもずっと私だけを見ていて。

こんなに愛してくれるんだから、時にはオオカミの顔を見せたって構わない。
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