気まぐれな君も好きだから
「ところで、要件、何? 探してる商品があるんなら、一旦電話切って、折り返すけど。」

「あぁ、うん。違う。」

「じゃ、何?」

「お前さ、今日、夜、空いてる?」

「へ........あ、うん。」

「よし、じゃ、予定入れんなよ。」

「わかった。」

「後でメールしとくわ。」

「うん。」



やった! 嬉しい!

どうしても顔がニヤけちゃう。

幸い、今日は遥希も休みだ。

仕事終わりのお誘いだから、ご飯を食べるだけなんだろうけど、だからこそ気楽に誘いに乗ることもできる。



古谷君はいつもこんな感じ。

唐突で強引。

やんちゃな悪ガキみたい。

意地悪して、私以外の女の子にもそうしてるのかって聞いたこともあるけど........



「お前以外の女の子、自分から誘わないから、わかんない。てか、お前のこと、男とか、女とか、いちいち考えて誘ってないし。」



どう反応したら良いのか、こっちが困るような見事な返答をくれた。



でも、まあ、っていうことは、誘い易いし、一緒にいて「楽な存在」?

きっとそういう意味なんだろうと、勝手に良い解釈をして、今までずっとこんな風に過ごして来た。
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