【短編】重なる陰
「太鼓持ちか、、、」



ふと僕の横の客がつぶやきました。



「あの太鼓持ちなあ
昔はああ見えてもここら辺、肩に風切って
歩いていたんやでえ。


パチプロやったんや。



この辺のパチンコ屋を皆荒らしまわってなあ、
あのおっさんが、店に入ってくるだけで
店員は嫌な顔をしてたもんや。



所が時代に勝てず落ちぶれて
今は勝っている客に取り入って
100円200円もらって、なんとか食いつないどるんや、、、



なあ、学生さん。



今はパチプロが、かっこいいって時代になっとるけど
遅かれ早かれパチプロは皆ああなるんやでえ。」



僕はドキッとしました。


あんまり、パチンコが楽しいもんで
パチプロにでもなろうかなあと思っていたからです。



そして、隣の人はこう言いました。





「あいつの棺桶は間違いなくゴミ箱や。
誰も引き取るやつなんかおれへん」





相変わらず笑顔をふりまいている男の横を
通り過ぎ、僕は店を出ていきます。






男とすれ違った瞬間


男の陰と僕が重なったような気がして
思わず身震いしたのを覚えています。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

fuwa
flea/著

総文字数/681

恋愛(純愛)1ページ

ののかのデート
flea/著

総文字数/1,438

恋愛(純愛)5ページ

表紙を見る
なよ子の成績
flea/著

総文字数/1,093

ホラー・オカルト3ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop