生意気なキミ
卒業式の日
好きなところ~要side~
校門前には【卒業証書授与式】と書かれた板。
そして、その周りで浮かれたように写真を撮っている保護者と3年生。
……いや、元3年生か。
今日は俺たちの1つ上の学年の卒業式だった。
そんな式に俺は在校生代表として出席。
「佐藤くん」
背後から聞こえてきた声にビクリと肩が上がる。
ゆっくりと振り返れば、大好きな人の姿。
「……如月先輩、驚かさないでください」
平然を装うが、内心はヒヤヒヤ。
……友達のところに行かなくてもいいのか?
「今日の送辞よかったよー!さすが佐藤くん!」
笑顔で褒めてくれる先輩。
その表情にもドキッと心臓が跳ね上がる。
「もっとみんなと一緒に吹奏楽したかったなぁ……」
名残惜しそうに言う先輩。
如月先輩は同じ吹奏楽の先輩で、トランペットを吹いていた。
「そうですね」
俺が淡々と返すも、先輩は笑顔を絶やさない。
「明日から寂しくなりますね」
「そだねー」
「先輩をからかえなくなるので」
「そういう問題!?」
嘘。
ただ強がっただけ。
本当は、すごく寂しい。
「木村ちゃんともお別れだしー…」
可愛い子成分が足りなーい!と口を尖らせる先輩。
……気づいてないのか?
「何言ってるんですか。先輩も十分可愛いですよ」
「さ、佐藤くんっ!!?」
ほら、そうやって顔を赤くして照れる。
本当、からかいがいがありますね。
そういうところも好きですよ。
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