生意気なキミ
キミの気持ち~乙葉side~
卒業式を終えてすぐに、後輩の佐藤要くんを探した。
「佐藤くん」
私がそう呼ぶと必ず振り返ってくれるよね。
私がいないとからかえなくなるので……なんて言ってる佐藤くんもカッコいいなー、なんて。
私ってホント、この子のこと好きだなぁ。
「明日からの練習も頑張ってね」
「もちろんです」
当たり前のように言いのける佐藤くん。
部長になったんだもん、当然だよね……。
「卒業しちゃったけど、たまに見に行くからね!」
もちろん指導にし、だけど。
なんか、去年までいてた稲葉先輩みたい。
そんなことを考えていると、佐藤くんが下を向いていた。
「佐藤くん……?」
どこか体調でも悪いのかな……?
そう思い声をかけようとすると、ちょっと低めの声が聞こえた。
「………ですか」
「えっ?」
「何突然年上ぶってるんですか」
「いや私先輩だからね!?」
年上だし!!
「……ずるいですよ」
次に聞こえてきたのは、さっきとは全く逆の弱々しい声。
「佐藤くん……」
「これまで先輩らしさ、なんて見せなかったくせにこんなときだけ……」
初めて聞いたよ、キミの気持ち……。