生意気なキミ
待ってる~乙葉side~
嘘だと思った。
ドッキリかとも思った。
「ほ、ほんとに……?」
佐藤くんが私のことを好きだなんて……。
私が不安と期待が入り交じった目で見ると、佐藤くんはさっきまでの不安そうな表情はどこに行ったのか、意地悪そうに笑った。
「こんなときに嘘ついてどうするんですか、乙葉先輩」
「な、名前………!!」
初めて下の名前で呼んでくれた。
跳び跳ねたいくらい嬉しい。
「で、先輩。返事はないんですか?」
言わせようとするなんて、佐藤くんはやっぱり意地悪だ。
「言わなくてもわかるでしょ、」
「俺は先輩の口から聞きたいんです」
だから、早く。
そう顔を近づけて囁く佐藤くん。
本当、意地悪で生意気。
でも………でもね、
「私も……要くんのこと、大好きです!」
名前を言うときにちょっと照れた。
でも、ちゃんと言えた。
「そんなこと知ってます」
「もー!可愛いげがないなぁ」
でも知ってるよ。
キミが照れ隠しで言ったことくらい。
すると、要くんはフッと笑った。
「先輩、立ち止まってる暇なんてないですよ。俺はすぐに追いつくんで」
そう言ってる彼は、とってもかっこよかった。
待ってるよ、キミが追いついてくるの。