生意気なキミ
おめでとうございます~要side~
想いが通じ合ったところで、そろそろ3年生の解散時間。
俺も体育館で仕事が残っている。
「一旦、お別れだね……」
悲しそうに言う乙葉先輩。
俺は最後に何か言うことがないかと考えた。
……あった。まだ言っていない言葉が。
「乙葉先輩」
「なぁに?」
いつも通り、何ら変わらない先輩の笑顔。
「一度しか言いませんよ」
だからよく聞いて、忘れないでくださいね。
「卒業、おめでとうございます」
「ありがとうっ……!!」
先輩は目に涙を浮かべて笑った。
そして、桜の花びらが風で舞うとき、
俺と先輩は口付けを交わした。
初めて交わした口付けは、涙の味でいっぱいで。
「変な味」と笑い合ったあの笑顔も、
忘れられない宝物。
『卒業、おめでとうございます』
2014.07.04