髪から始まる恋模様【SS集】

…カランカラン。

扉に取り付けられた鈴が鳴る。

店内に一歩足を踏み入れると

受付カウンターに立っていた

アシスタント2年目のアキオ君が

「…いらっしゃいませ。
カリン様…お待ちしておりました。」

極上の営業スマイルを浮かべて

私を迎え入れてくれた。

ここはお客様を下の名前で呼ぶお店。

会社以外でアキオ君のように

年下で若くて可愛い系の男性に

下の名前で呼ばれる事に

最初は慣れなかったけど

今は悪くないと思えてくる。

私は受付にバッグを預けると

「…本日は担当のキミコ店長が
急用で誠に申し訳ありませんでした。
店長からは
『本日割引価格を適用させて頂く。』
『後日謝罪の電話をさせて頂く。』
との伝言がありました。」

アキオ君が申し訳なさそうに

店長の代わりに謝ってくれていた。

「…あっ、別にいいんですよ。
急用は仕方ないですからね。」

バッグを預けた私は

両手を大きく左右に振った。




< 3 / 25 >

この作品をシェア

pagetop