髪から始まる恋模様【SS集】
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「…カリン様、どうぞこちらへ。」
アキオ君が
シャンプー台へと案内してくれた。
座ると、スカートの上に
膝掛けを被せてくれて
首回りにはタオルや
ケープを巻いてくれた。
「…台倒しますね。」
そう言って後ろに倒された私の顔に
石鹸の香りがする
ミニタオルが置かれて
さてこのままアキオ君が
シャンプーをするかと思いきや
「…申し訳ありません、カリン様。
僕も本日は私用で
帰らなければならなくなりまして
中途半端で申し訳ありませんが
今から副店長と
交代させて頂きますので…。」
と、私に言った。
「……えっ!?」
…帰る?副店長?どういう事?
タオルをかけられたままだから
アキオ君の表情はわからないけど
驚く私を他所に
彼が私の近くでタイチ君に
申し訳なさそうな声で謝っている声と
何かをヒソヒソ話す声が聞こえた。