髪から始まる恋模様【SS集】

***

「…カリン様、どうぞこちらへ。」

アキオ君が

シャンプー台へと案内してくれた。

座ると、スカートの上に

膝掛けを被せてくれて

首回りにはタオルや

ケープを巻いてくれた。

「…台倒しますね。」

そう言って後ろに倒された私の顔に

石鹸の香りがする

ミニタオルが置かれて

さてこのままアキオ君が

シャンプーをするかと思いきや

「…申し訳ありません、カリン様。
僕も本日は私用で
帰らなければならなくなりまして
中途半端で申し訳ありませんが
今から副店長と
交代させて頂きますので…。」

と、私に言った。

「……えっ!?」

…帰る?副店長?どういう事?

タオルをかけられたままだから

アキオ君の表情はわからないけど

驚く私を他所に


彼が私の近くでタイチ君に

申し訳なさそうな声で謝っている声と

何かをヒソヒソ話す声が聞こえた。







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