図書室にいる。
「一年生の春沢さんだよね?」
「は...はい!」
縦に何度も頷いた。
「いつもきてるけど、読書が好きなの?」
本当はあなたが好きなんです…、とは言えないので、微笑んで答える。
「はい」
「そうなんだ。僕も好きだよ」
落ち着くよね、とニコッと笑った先輩。好きだなぁ、って感じる瞬間。
「あの、先輩」
「ん?」
「先輩は」
「うん」
「好きな人…いますか?」
好きだと、バレないように平静を装って聞いた。
「気になってる人はいるかなあ」
「そうなん…ですか」
胸の辺りがズキッとした。
「私、帰りますね!へへ」
…やばい、泣いちゃいそう。
自分で聞いたくせに馬鹿だ。
「失礼しました!」