◆Loves to You◇【短編集】
「春菜もうすぐ誕生日でしょ?」
「えっ?あぁー…言われればそうだわ」
「じゃあ祝ってもらいなよ、旬くんに!!」
「誕生日ねぇ…」
きっと
今年も何もおめでたくない日で終わるんだろうな…。
自分の親だっていつも忘れてるんだから。
人から誕生日を祝ってもらった記憶なんて全然ないな。
……・・・……・・・…
「ただいま…」
玄関のドアを開けると
ド派手なスーツに身を包んだ母親が、耳にイヤリングをつけながら靴を履いていた。
「あー今日は早いの、あんた。机の上に千円置いてあるからなんか食べなさい」
それだけ言って、家を出て行ってしまった。