aqua regia

一日の大半を保健室で過ごす。母が学校に話してくれていたみたいで、無理矢理教室に引っ張られることは無かった。特別身体が弱いわけでもないのに、一人みんなとは別に卒業をした。

なんとか高校へ入って、保健室登校がしにくくなった。進学校というのもあるし、出席が内申に関わってくる。

そんなことから目を逸らすように、次は放送室に閉じこもった。

あそこは雑音が少なくて、本当に良い。

「瀧本さん、今日の化学の授業出ないと単位落としちゃうわよ」

久しぶりに見た担任は、それだけ言って去っていく。他人事だからか、あたしを気遣ってか。

もう子供じゃないんだけど。

母がどう説明しているのか分からないけれど、あたしは一度で覚えたものを二三度繰り返して言われようと、もうイラついたり不機嫌になったりしない。



< 17 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop