淡雪の恋
意外そうな顔をする昴。
まぁそうだよな。
さっきまで合コンとかもどうでもいいとか言ってたし。
「んーと、確かユキちゃんだったかな?あだ名かもしれないけど」
ユキ……
「裸とか真っ白で綺麗な黒髪の、いかにも大和撫子って感じ」
「ふーん……」
真っ白で黒髪、ね……
キラリと胸元の石が光ったような気がした。
「……春、何笑ってるの?」
「笑ってたか?」
「少し不気味なぐらいに」
言い方には少しムカツクが、今回は昴に反論はしない。
自分でも分かるぐらいに頬が緩んでいた。
「やっと、伝えられるな」
六年間、ずっと伝えられなかった思い。
持ち続けて、大きくなっていった思い。
「おかえり、淡雪」
ふわりと後ろから抱きしめられる感覚がする。
あの日と同じ、ひんやりとした温度が俺を包んだ。
「っ、ただいま……春」
思い出の中と変わらない優しい声。
「信じて、待っていてくれて…ありがとう」
ぎゅうっとしがみつくかのように抱きつく淡雪に愛しさが積もる。
「淡雪」
あのとき言えなかった言葉を、成長した思いを伝えるよ。
「愛してる」
Fin.