恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜



 生徒たちはあっという間に弁当を食べ上げて、再び作業に取り掛かる。お腹が満たされて、かなりやる気が出たようだ。加えて、台紙に短冊を貼る役目と休憩をローテーションで入れるようにしたので、作業効率は格段に上がった。


 真琴も一緒に弁当を食べ、ごみを片付けると、先ほどのように短冊を塗る作業を始めた。

 初めから、帰宅してしまうなんて、これっぽっちも考えていなかった。さっき、率先して帰るようなそぶりを見せたのは、ああでもしないと女子生徒たちを帰せないと思ったからだ。それも、古庄の意志を汲んで、行動したことだった。


 このモザイク画が出来上がるまで協力すると、生徒たちと約束した。
 それに、……どんな些細なことでも、古庄のためになりたい……。そのためには、真琴はどんな努力も惜しまなかった。


 一緒にやっていけるかどうか、なんてどうでもいい。今この瞬間、自分は古庄と一緒にいたいと思い、ただ一緒にいられさえすればこの上なく幸せなのだ。

 そのことを、やっと真琴は悟った。

 古庄がいてくれるから、自分も生きてここに存在する意味がある……。古庄は真琴にとって、恋するだけの対象ではなく、心の中の主柱だった。



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