恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
「うん、大丈夫。バッチリよ!お疲れ様!」
真琴がそう言ったと同時に、生徒たちから声が上がった。
「終わった―――っ!!!」
「やった――――っ!!!」
歓喜の声と共に、真琴の顔にも笑みが灯った。
こんな瞬間に立ち会える度に、いつも真琴は教師になれたことを心の底から感謝する。自分だけの到達や成功ではなく、生徒たちと共に成し遂げられることは、真琴の喜びをもっと大きなものにした。
これまでも、そういう経験は何度もしてきたけれども、このモザイク画はその中でも、真琴にとって特別なものだ。
ただ生徒たちとだけではなく、誰でもない一番大切な人と一緒に、苦しい状況も乗り越えて完成させられた……。そんな、真琴の中のいろんな想いが詰まった作品だ。
その想いを噛みしめながら、真琴は改めてモザイク画に目を移した。
全校生徒のパワーが凝縮されたような、絵全体から放たれる迫力に、吸い込まれるような感じがする。同時に、桜の高潔で繊細な美しさが、真琴の胸を切なく突き上げた。
我を忘れてモザイク画に見入っていた真琴の瞳から、いつしか涙が溢れてくる。涙で視界が滲んできても、真琴はそこから目が離せなかった。