恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
「それに、俺のクラスの面倒もずいぶん見てくれてたのも、知ってるよ。……ありがとう……」
古庄の感謝の言葉を聞いて、真琴は弾かれたように、古庄を見上げる。
「……私は!」
突然、口を衝いて出てきた真琴の声に、隣にいた古庄も、驚いたように真琴に向き直った。
「……私は、あなたのために、あなたの力になれることが嬉しいし、そのためだったら、何だってするんです……!」
古庄が語ってくれるように甘く、真琴も想いを伝えたかったけれど、うまく表現できなかった。
だけど、今この胸にある想いを、大切な人に知っていてもらいたい……!ただ、それだけだった。
「……だって、私はあなたの奥さんなんだから……」
真琴のその一言は、古庄の心を一瞬で貫いた。
抑えようのない、とてつもない真琴への想いが溢れてくる。迷うことなく真琴の腕を引いて、懐深くに抱きしめた。
もう、誰に遠慮することも、我慢もしなくていい……。やっと想いのままに、真琴を抱きしめることができる……。
思いの丈を込めて古庄がその腕に力を込めると、真琴の華奢な体がキュッとしなった。
古庄の胸に体を預け、真琴は目を閉じた。切ない鼓動を伴いながら、自分の居場所はここなんだと悟る。
自分の命よりも大切で、誰よりも愛しい人の腕の中――。